子供の頃の記憶

評価:
道尾 秀介
文藝春秋
¥ 1,470
(2010-09-14)
コメント:月は母性、かに座の守護星。でも、この小説では・・

 
道尾さんの小説は、伏線があり、読者が予想するストーリーを覆して
真実はもっと単純だというスタイルが多かったんだけど、
これは違っていて、悲しいことはそのまま悲しい事実へというストーリーだった。

月と蟹は小説の中にも出てきて、月はかに座の守護星で母性、母親を表すという
占星術的なロマンティックな象徴とはかけ離れたグロテスクさを持っていた。


読み終わって、子供の頃を思い出させられた。
子供の頃の記憶って断片的に覚えていて、例えば親戚のおばさんがあの時
あんなこと言って、多分子供にはわからないだろうと思って言っていたんだろうなとか、
直接何か言われたわけではないけど、おばさんから発せられる私たちに対する冷たい
オーラのようなものからおばさんが嫌いだったなと、その時のことをしっかり記憶している。


そういう断片的な子供の時の記憶がたくさんあって、
何かのひょうしに思い出される。
そして、大人になって思い出したとき、その時自分はいやな気分だったんだなと
気がつくことが多い。
どちらかというと楽しかったことよりいやだったことのほうがしっかりと空気感として
覚えているような気がする。

そんな子供のときの言葉にできない感情を道尾さんがうまく
この小説で表現している。

子供って大人が思っているよりずっと大人の言っていること、やっていることを
理解していると思う。


うまく言葉にはできなくても、だからどうしろとか言えなくても
そういうのいやだとしっかりと記憶に残っている。
この小説で慎一はそれを体をはって言ったようなものだけど・・

多分過ごした子供時代によってこの小説を読んだ感想が大きく分かれるんだろうと思う。

裕福な家庭、広い家で暮らしたヒトには慎一と春也の気持ちはわからないのかもしれない。

そして、やっぱり女の子のほうが大人なところも、しっかり描写されていた。

読んでいくうちにどんどん悲しさというより、暗さがましていく小説だったけど、
子供のときの記憶を思い出し、その時の気持ちを受け止めなおす作業ができる
小説なのかもしれない。





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